「なわとび」の版間の差分
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なわを跳ぶという一見単純にみえるなわとび運動も、よくみればリズミカルな形式からできており、緊張と弛緩の連続、手足の動作の統一と変化がある。各種の跳躍となわの変化との調和するところに興味が生まれ、各種の跳び方を組み合わせたより合理的な跳び方の中に醍醐味が感じられる。 | なわを跳ぶという一見単純にみえるなわとび運動も、よくみればリズミカルな形式からできており、緊張と弛緩の連続、手足の動作の統一と変化がある。各種の跳躍となわの変化との調和するところに興味が生まれ、各種の跳び方を組み合わせたより合理的な跳び方の中に醍醐味が感じられる。 | ||
①全身運動であり、体を均斉に発達させ、美しい姿勢をつくる。 | |||
両脚部を主とする跳躍運動のようにみえるけれど、脚部の筋肉が中心に作用し、上肢の運動に伴う胴体の筋肉の作用と心臓・肺臓等の内臓諸器官に及ぼす効果は大きい。これは形態的にも機能的にも均斉な発達をうながし、また姿勢が悪ければしっぱいするので常に注意するようになる。より美しく軽く合理的に跳ぼうとすれば、上体・脚・腕等の各部の相互関係が統一された中に、緊張と弛緩・リズム・正確さ等の●的姿勢が自然に養われる。 | 両脚部を主とする跳躍運動のようにみえるけれど、脚部の筋肉が中心に作用し、上肢の運動に伴う胴体の筋肉の作用と心臓・肺臓等の内臓諸器官に及ぼす効果は大きい。これは形態的にも機能的にも均斉な発達をうながし、また姿勢が悪ければしっぱいするので常に注意するようになる。より美しく軽く合理的に跳ぼうとすれば、上体・脚・腕等の各部の相互関係が統一された中に、緊張と弛緩・リズム・正確さ等の●的姿勢が自然に養われる。 | ||
②内臓諸器官の中で、とくに心臓・肺臓の活動を増大する。 | |||
強度のなわとび運動は息切れがして二分と続けられないだろう。これは心臓の作用が著しく高まり、かつ呼吸器もこれに伴って活動するからであって、生命の泉といわれる心臓と肺臓の活動力を増大する。 | 強度のなわとび運動は息切れがして二分と続けられないだろう。これは心臓の作用が著しく高まり、かつ呼吸器もこれに伴って活動するからであって、生命の泉といわれる心臓と肺臓の活動力を増大する。 | ||
③巧緻性・持久性・機敏性・正確性を養う。 | |||
巧緻性・正確性は困難な種目になればなるほど必要である。ということは器用さを必要とすることにもなる。またなわとびは瞬間的に変化が表われ、すばやくこれに順応しなければならないので、順応力と反応性、精神の集中力が必要で神経の調整力を増大させる。 | 巧緻性・正確性は困難な種目になればなるほど必要である。ということは器用さを必要とすることにもなる。またなわとびは瞬間的に変化が表われ、すばやくこれに順応しなければならないので、順応力と反応性、精神の集中力が必要で神経の調整力を増大させる。 | ||
④積極性・勇気・協力・規律性を養う。 | |||
困難な種目に対して自ら進んで成功しようという積極性と勇気、心身一体となり夢中でできたときの喜び、あるいは協力で行う複合とびで養われる協同の仕方、種目の移り方、正しくとび、しめくくりのある終わり方など、お互いが気持ちよく和やかにたのしむふんいきの中に自然に品性が養われる。 | 困難な種目に対して自ら進んで成功しようという積極性と勇気、心身一体となり夢中でできたときの喜び、あるいは協力で行う複合とびで養われる協同の仕方、種目の移り方、正しくとび、しめくくりのある終わり方など、お互いが気持ちよく和やかにたのしむふんいきの中に自然に品性が養われる。 | ||
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①レクリエーションとして | ①レクリエーションとして | ||
レクリエーションとしても毎日の生活の中になわとび運動を是非実行してほしい。健康とは食事がおいしく頭がはればれとして適度にはたらき、快くねむれることと常識的に定義するならば、その上により活気に満ちた積極的な意欲と小事にこだわらずにてきぱきした判断力、明るい性格をもって生活するためには、どうしても毎日の日課に軽い運動が必要である。学校はもちろん、工場等のレクリエーションとしてなわとびは適切な運動の一つにあげられる。 | |||
②各種スポーツのトレーニングとして | |||
なわとび運動は、脚部の速度・強さ・持久力を中心とした全身運動であるから、とくにフットワークと走ることを主な要素とするスポーツ(バスケット・野球・ボクシング・庭球・サッカー・ラグビー・バレー)などには最適のトレーニングである。 | |||
③肥満を防止する | |||
なわとび運動は数分間にして発汗するから肥満した人はそれほど強い疲労を感ずることなしに体重を軽減することができる。その結果、脂肪肥満型から筋肉型になることができ、動作を機敏軽快にするところから生活能力を増大することになる。 | |||
=== ◆実施上の注意 === | === ◆実施上の注意 === | ||
①なわの選び方 | |||
(1)長さ | |||
イ.短なわ | |||
一人跳びに用いる短いなわを短なわといい、その長さは各自の身長によって多少の差はあるが一般に大人3m、子供2mである。正確にはなわの中央を足先で踏み、その両端がまっすぐに立った肩までの長さが適当である。しかし種目によって、胸位、ウエスト位、頭の高さ位と分けて行うとよい。 | |||
ロ.長なわ | |||
二人がなわの両端をもって廻し、他の者が入って飛ぶ場合に用いる長なわをいう。種目によって多少長さがちがうが、ふつう6m位のを用いる。 | |||
②場所 | |||
(1)心臓・肺臓の活動が大きい運動であるために空気の清い場所であること。 | |||
(2)跳躍運動であるから、コンクリートのように頭にひびく固い場所はよくない。運動靴で行ない、砂利等の無い地面で行うこと。 | |||
③始めと終りの姿勢 | |||
(1)初めの姿勢 | |||
両手の一を肩から前方に出して肘を軽くまげ、なわはひざの後方よりいくらか下にたらす。 | |||
(2)終りの姿勢 | |||
跳び終わってなわを止める場合は、片足を半足長前に出し、かかとを地につけ足先をあげる。そしてなわを地面と足先の間に入るように引き込む。 | |||
(注)なわは必ず小さく結んで持ち運びすること。 | |||
④実施上の一般的注意 | |||
(1)両手首は常に左右ひとしい位置にあること。普通きき腕が下がりがちになるから注意すること。 | |||
(2)上体は正面に正体して地面に垂直であること。両腕・両脚の動きによって上体がくずれないこと。 | |||
(3)なわをよくみること。前上方でなわが正しく弧を画いているかを常にたしかめること。 | |||
(4)リズミカルに跳ぶこと。常に同じテンポで跳ぶこと。 | |||
(5)始めと終りをはっきりとすること。 | |||
(6)回数・方法などを正しく行うこと。 | |||
(7)お互いに向上心と研究心をもち、協力し合って行なうこと。 | |||
⑤衛生上の注意 | |||
(1)場所について十分考慮する。 | |||
(2)軽い種目から始める。急に二回廻旋とびなどを連続して行なわないこと。 | |||
(3)適量を行なうこと。トレーニングで行なう時は別として、毎日の身体の調子はふしぎに毎日のなわとびで感じることができる。適量とは各人の体力によっても一口にいえないが、いくぶん汗をかき、体中が暖まり、爽快な気分になった時は適量といえるだろう。もし、ぼんやりとしたうつろな心となり、活動に消極的になれば適量とはいえない。 | |||
(4)整理運動として、膝屈伸や体の前後屈等の運動を十分行なうこと。 | |||
(5)発汗後の仕末をよくすること。 | |||
=== ◆用語の説明 === | === ◆用語の説明 === |
2023年9月3日 (日) 14:41時点における版
『なわとび運動』
東京都立小山台高等学校 体育科
まえがき
学校・職場または家庭で、なわとび運動がおこなわれているのをよく見かけるだろう。これはなわとび運動が生活の中から自然に生まれたためであろう。しかしその跳び方の種類・内容・方法が限られていて、何かものたりなさを感じているのではないだろうか。興味を失うことなく自然の形式より出発して、やさしい跳び方から困難な跳び方と次々に成功していくよろこび。競争的にあるいはより合理的にかつ美しく、また団体でマスゲーム的に行う方法はどんなものがあるだろうかなどと考えるとき、限りなく創造的妙味があるものである。その特質を失うことなく、一層体育的に、またはレクリエーションとしても行うとき、困難な種目は、どこに注意し、どのような練習をしたらよいかということが必要になってくる。それらを研究し、お互いに協力してなわとび運動の醍醐味を十分味わってもらいたいものである。
○なわとび運動の心身に及ぼす影響
なわを跳ぶという一見単純にみえるなわとび運動も、よくみればリズミカルな形式からできており、緊張と弛緩の連続、手足の動作の統一と変化がある。各種の跳躍となわの変化との調和するところに興味が生まれ、各種の跳び方を組み合わせたより合理的な跳び方の中に醍醐味が感じられる。
①全身運動であり、体を均斉に発達させ、美しい姿勢をつくる。
両脚部を主とする跳躍運動のようにみえるけれど、脚部の筋肉が中心に作用し、上肢の運動に伴う胴体の筋肉の作用と心臓・肺臓等の内臓諸器官に及ぼす効果は大きい。これは形態的にも機能的にも均斉な発達をうながし、また姿勢が悪ければしっぱいするので常に注意するようになる。より美しく軽く合理的に跳ぼうとすれば、上体・脚・腕等の各部の相互関係が統一された中に、緊張と弛緩・リズム・正確さ等の●的姿勢が自然に養われる。
②内臓諸器官の中で、とくに心臓・肺臓の活動を増大する。
強度のなわとび運動は息切れがして二分と続けられないだろう。これは心臓の作用が著しく高まり、かつ呼吸器もこれに伴って活動するからであって、生命の泉といわれる心臓と肺臓の活動力を増大する。
③巧緻性・持久性・機敏性・正確性を養う。
巧緻性・正確性は困難な種目になればなるほど必要である。ということは器用さを必要とすることにもなる。またなわとびは瞬間的に変化が表われ、すばやくこれに順応しなければならないので、順応力と反応性、精神の集中力が必要で神経の調整力を増大させる。
④積極性・勇気・協力・規律性を養う。
困難な種目に対して自ら進んで成功しようという積極性と勇気、心身一体となり夢中でできたときの喜び、あるいは協力で行う複合とびで養われる協同の仕方、種目の移り方、正しくとび、しめくくりのある終わり方など、お互いが気持ちよく和やかにたのしむふんいきの中に自然に品性が養われる。
○なわとび運動の効用
①レクリエーションとして
レクリエーションとしても毎日の生活の中になわとび運動を是非実行してほしい。健康とは食事がおいしく頭がはればれとして適度にはたらき、快くねむれることと常識的に定義するならば、その上により活気に満ちた積極的な意欲と小事にこだわらずにてきぱきした判断力、明るい性格をもって生活するためには、どうしても毎日の日課に軽い運動が必要である。学校はもちろん、工場等のレクリエーションとしてなわとびは適切な運動の一つにあげられる。
②各種スポーツのトレーニングとして
なわとび運動は、脚部の速度・強さ・持久力を中心とした全身運動であるから、とくにフットワークと走ることを主な要素とするスポーツ(バスケット・野球・ボクシング・庭球・サッカー・ラグビー・バレー)などには最適のトレーニングである。
③肥満を防止する
なわとび運動は数分間にして発汗するから肥満した人はそれほど強い疲労を感ずることなしに体重を軽減することができる。その結果、脂肪肥満型から筋肉型になることができ、動作を機敏軽快にするところから生活能力を増大することになる。
◆実施上の注意
①なわの選び方
(1)長さ
イ.短なわ
一人跳びに用いる短いなわを短なわといい、その長さは各自の身長によって多少の差はあるが一般に大人3m、子供2mである。正確にはなわの中央を足先で踏み、その両端がまっすぐに立った肩までの長さが適当である。しかし種目によって、胸位、ウエスト位、頭の高さ位と分けて行うとよい。
ロ.長なわ
二人がなわの両端をもって廻し、他の者が入って飛ぶ場合に用いる長なわをいう。種目によって多少長さがちがうが、ふつう6m位のを用いる。
②場所
(1)心臓・肺臓の活動が大きい運動であるために空気の清い場所であること。
(2)跳躍運動であるから、コンクリートのように頭にひびく固い場所はよくない。運動靴で行ない、砂利等の無い地面で行うこと。
③始めと終りの姿勢
(1)初めの姿勢
両手の一を肩から前方に出して肘を軽くまげ、なわはひざの後方よりいくらか下にたらす。
(2)終りの姿勢
跳び終わってなわを止める場合は、片足を半足長前に出し、かかとを地につけ足先をあげる。そしてなわを地面と足先の間に入るように引き込む。
(注)なわは必ず小さく結んで持ち運びすること。
④実施上の一般的注意
(1)両手首は常に左右ひとしい位置にあること。普通きき腕が下がりがちになるから注意すること。
(2)上体は正面に正体して地面に垂直であること。両腕・両脚の動きによって上体がくずれないこと。
(3)なわをよくみること。前上方でなわが正しく弧を画いているかを常にたしかめること。
(4)リズミカルに跳ぶこと。常に同じテンポで跳ぶこと。
(5)始めと終りをはっきりとすること。
(6)回数・方法などを正しく行うこと。
(7)お互いに向上心と研究心をもち、協力し合って行なうこと。
⑤衛生上の注意
(1)場所について十分考慮する。
(2)軽い種目から始める。急に二回廻旋とびなどを連続して行なわないこと。
(3)適量を行なうこと。トレーニングで行なう時は別として、毎日の身体の調子はふしぎに毎日のなわとびで感じることができる。適量とは各人の体力によっても一口にいえないが、いくぶん汗をかき、体中が暖まり、爽快な気分になった時は適量といえるだろう。もし、ぼんやりとしたうつろな心となり、活動に消極的になれば適量とはいえない。
(4)整理運動として、膝屈伸や体の前後屈等の運動を十分行なうこと。
(5)発汗後の仕末をよくすること。
◆用語の説明
◆なわの跳び方
「なわとび」級別達成項目一覧
関連事項
脚注:
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2023年9月3日:直近編集者:Ssumie
TimeStamp:20230903144130